「赤也くん、冷静になって。僕がフォローするから、心配しなくていいよ」と白石は優しく言った。
赤也は苛立ちと不安定な感情に押し潰されそうになっていた。対戦相手の松平と都の挑発的な発言に加え、試合の主導権も完全に相手に握られている状況だった。彼は自分の力を信じていたが、今回ばかりはどうしても気持ちが抑えきれなかった。
しかし、白石の存在が赤也を支えてくれる。彼は常に冷静であり、チームメイトを思いやる優しさを持っている。それが赤也にとって心強い存在だった。
「ありがとう、白石。助けてくれて本当に嬉しいよ」と赤也は微笑みながら答えた。
実は、この試合前に白石は合宿所を去る柳から頼まれていた。柳は赤也のデビル化を止める方法を知っており、その秘密を教えてほしいと頼んできたのだ。
「柳から言われたことがあるんだ。君のデビル化を止める方法を知っているらしい。試合後に話してみないか?」と白石は赤也に提案した。
赤也は驚きながらも、興味津々の表情を浮かべた。「本当に?それなら、是非聞かせてほしい」と彼は期待を込めて言った。
第2試合が始まり、松平と都の圧倒的なプレースタイルが続く中、白石は冷静さを保ちながら赤也と息の合ったプレーを展開していった。彼らの連携プレーによって徐々に試合の主導権を取り戻すことができた。
しかし、赤也の内部で闘争心が渦巻いていた。自分自身をコントロールすることができず、デビル化してしまう恐怖が彼を襲っていた。
「落ち着け、赤也。君は強いんだから」と白石は静かに声をかける。
その言葉に救われた赤也は再び集中力を取り戻し、全力でプレーすることができた。彼らの奮闘むなしく、見事な逆転勝利を収めた。
試合後、白石は柳との約束を果たすために彼の元へ向かった。柳は赤也のデビル化を止める方法について教えてくれるだろうか。
「白石くん、来てくれてありがとう」と柳は感謝の言葉を述べた。
「さっそくですが、デビル化を止める方法って何なんですか?」白石は興味津々で尋ねた。
柳は少し考え込んだ後、「それは君自身が見つけるしかないんだ」と答えた。
驚いた白石は首を傾げながら、「自分自身が見つけるって、どういうことですか?」と尋ねた。
柳は微笑みながら語り始めた。「赤也くんの場合、テニスに対する情熱や信念を思い出すことが大切なんだ。彼が本当に求めているもの、そして彼がテニスで成し遂げたい夢。それを再確認することでデビル化から解放される道筋を見つけられるようになるんだ」
白石は言葉に深く考え込みながら、柳の言葉を受け入れた。「なるほど、自分自身の情熱や信念を思い出すことか。それなら、赤也にも伝えてみます」と彼は決意を込めて答えた。
新しい気持ちで合宿所に戻った白石は、赤也に柳からのメッセージを伝えることにした。彼らは共に成長してきた仲間であり、互いの支えとなる存在だった。
「赤也、聞いてくれ。デビル化を止める方法は君自身が見つけるしかないんだって」と白石は真剣な表情で告げた。
赤也は驚きながらも、深く考え込むような表情を浮かべた。「そうか、自分自身が見つけるんだ」と彼はつぶやいた。
この試合を通じて、赤也と白石はさらに絆を深めることができた。彼らはお互いを支え合いながら成長し続けることで、新たな高みへと進んでいくのだろう。そして次の試合では、必ずや勝利を掴み取ってみせるだろう。